就職者の声

インタビュー

遠回りしてやっと巡り合えたパソコンの仕事。 先生、僕は毎日、楽しく働いてます!

製造業、小売業を経ていま

S.Aさんは20代ギリギリの29歳。笑顔が素敵な青年だ。ここに入ったのは昨年の4月。1年と2カ月ぐらいが過ぎた。 わかりづらいが、小さい頃の熱性けいれんによってほんの少し脳に障害が残っている。学校は普通科に通い、パソコンの専門学校に進んだが、就職では製造業、小売店の裏方などをやってきた。

「工場では障がいへの理解がまだ少なくて、普通の感覚で言われちゃう。それが辛いんです。」S.Aさんの場合、一見どこに障がいがあるかわからない、というところが辛い所だった。小売店のバックヤードをやっていたときも、やっぱりそこがネックになった。

それで、ハローワークに相談し、就職を支援する訓練学校に通い、それからいまの綜合キャリアトラストに巡り合ったというわけだ。今度は事務系。パソコンを使った仕事だ。

「初めてのチャレンジです。専門学校でパソコンはやったけど、その時は事務系は難しいと言われてあきらめて製造業にいったんですよね。やっとここでパソコンの仕事に巡り合えました。」

遠回りしたけれど、ずっと目指していたパソコンの仕事ができる。その喜びがいまS.Aさんの気持ちのなかに輝いている。

毎日、会社に来るのが楽しくて

「一番最初にパソコンを教えてくれたのは高校の先生なんですよ。本当は調理師学校に行きたかったのですが、先生が、これからは資格を持ったほうがいい、といってくれて、それでパソコンの専門学校に行くことに決めたんです。」

ちょっと遠回りはしたけど、先生にアドバイスしてもらったことが、いま、S.Aさんの仕事となって彼を支えている……この不思議。 「田島先生、ありがとうございましたって感じです。でも、あまりにも先生が今の縁を予知していたみたいでちょっと怖い感じなんです。」

そのぐらい、S.Aさんは今の仕事が自分にぴったりだと思っている。

朝は6時に起き、ご飯を食べてお弁当を詰め、8時45分には家を出て、車に乗って出社する。会社に着いたら、社内便の仕分けをし、自分の机を拭き、パソコンの掃除をし、朝礼。それから作業になる。

S.Aさんの仕事は、登録作業。スタッフのデータをパソコンで入力する大事な仕事だ。 「入った時はやって行けるのかな、という気持ちもあったんですが、とにかくここの雰囲気が楽しいんですよ。これは今まで全然なかった。製造業は決まったことしかなかったけど、ここは今日何があるかわからない。新しいことにチャレンジできるのが楽しいんです。」

職場は最初から障がいもオープンで、障がいへの理解もある。そしてなんといっても仲間がいる。チームの仲間がいつもS.Aさんを助けてくれる。 「自分が忘れていることを気がついてくれて、“シュレッダーしなくていいんですか”なんて言ってくれるんです。誕生日会とか祝ってくれたり。」

他の会社にはない、先輩とか後輩ではない対等感覚の仲間たち。人間に傷ついてきたS.Aさんが、いま人間に元気をもらっている。

先生、ありがとう!

S.Aさんの今の目標は「パソコンでいろいろな仕事に携わっていくこと」だ。これからは登録の仕事以外にも、いろんなことにチャレンジしてみたいと思っている。

彼女は?と聞くと、「予感はしてます」という答えが返ってきた。

「何なのかわかりませんが、何かが見つかりそうな予感があるんです。」

見つかる予感……これがあれば見つかるさ。コロコロっと笑いながら未来を語る29歳のS.Aさんを見て、田島先生はなんと言うだろうか。

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