就労移行支援事業所で課題に取り組む ~Aさんの場合~
今回は発達障害(ADHD)のAさんが就労移行支援事業所でどのような訓練を経て、就職されたのかをご紹介します。
Aさんについて
・発達障害
・社会人経験は半年~1年程度
・通所期間:1年半
・東京都内の特例子会社に就職
通所当時のAさんの課題は…
→業務に関する時間の裁量は必ずしも自分で全てコントロールできるわけではありません。
そのため、「自分が納得できるまでやりたい」ということが難しい場合が多いです。
今後のことを考えて、「作業の裁量は指示者に合わせる」という練習を入れました。
→障害者雇用ではある程度の範囲であれば、耳栓や衝立を使用する等の環境への配慮が可能となる場合が多いです。
→業務を行う上ではミスを少なくする・ミスを自分で見つけることができるというのが大切です。
課題に対して、通所中に取り組んだこと
最初は職員の声掛けを無視して、作業を続けることが多かったです。
何度も繰り返し「手を止めてほしい」「切り上げてほしい」と声をかけ、
合わせて、<そのように声をかけられたら、なぜ作業をやめないといけないのか>をお伝えしたところ、徐々に手を止めることができるようになりました。
② 「集中して作業を行える環境はどのような環境なのかを探すこと」に対して
視界から入る情報が少ない環境(壁に向かって作業を行う、衝立で周りを仕切る等)が良いのか、音の少ない環境が良いのか…等の作業のしやすい環境を探しました。
どの環境であれば作業の効率が上がるのか、ミスが減るのかを試し、その都度振り返りを行いました。
③ 「自分に合ったミスのチェック方法を身につけること」に対して
入力後の自己のチェックのタイミングや間違えないように入力ができる方法等を試し、ミスをしない、ミスを気付けるようにするやり方を見つけていきました。
就職活動には自身の持っている強みを生かすことも必要です。
ここでAさんの強みとなる部分もご紹介します。
Aさんの強み
① 勤怠の安定
Aさんは前職の一般雇用で残業まで行うほど、しっかりと体力がありました。
そのため、就労移行支援事業所には週5日間10時~16時まで休まず通うことができました。
② アドバイスを素直に受け入れることができる
Aさんは受けたアドバイスや学んだ方法をそのまま実行していました。
③ 何でも素直に相談することができる
Aさんは通所中に感じたことはもちろん、家族のことや体調のことも気になったことは素直に相談することができました。
支援者に素直に気持ちを話してくれることによって、
こちらも<今、Aさんはどのような状態なのか>を的確に知ることができました。
強みを生かし、そして苦手な部分は少しでもカバーできるように、Aさんは毎日真剣に取り組まれていました。
その努力が実を結び、ご自身に合った会社に入社、そして現在は入社して4年目となります。
さいごに
こちらに関してはあくまでも一例に過ぎません。
しかし、
<どんな課題に対しても前向きに取り組むこと>
<なんでも素直に困ったことや疑問に思ったことを相談すること>
というのはどんな障がいであっても必要です。
就労移行支援事業所はひとりひとりに合わせて、就職に関するサポートを行っていきます。
もし何か就職のことでお困りの際はお近くの就労移行支援事業所を頼ってみてください。