自転車といっしょに暮らす信州で、 チームみんなで達成する喜びを感じています。

自転車と病気を相棒に

生まれも育ちも愛知県。なのに長野県で暮らしているN.Sさん。その理由は自転車だ。信州は自転車乗りにはたまらないフィールドだそうで、N.Sさんも自転車に乗りたいばっかりに、ここ信州に住み着いている。

「週末は長野から上田まで自転車で往復しています」。

軽々というけれど、長野~上田は往復120㎞ある。片道3時間かけて、上田まで行ってなにしているのか、というとお買い物。レコード店などお気に入りの店を何件か回ってくる。

愛車はツールドフランスなどの自転車レースに使われるような、軽くてタイヤの細いロードタイプ。修理は自分でこなす。

この自転車と自分の病気、もう人生の半分ぐらいつきあってきただろうか。

発病は19歳のとき。不眠になり、外出ができなくなった。自分ですぐに病気だと思い病院に駆け込んだ。以来ずっと、この病気とつきあってきた。もう自分の一部。自転車も病気も、長いつきあいだ。

障がいへの偏見を超えてやる

N.Sさんが綜合キャリアトラストに入社したのは今年の3月。かつては信販会社に5年間勤務したこともあるが、病気が悪化して退社。一時は辛くて親元に帰ったり、入院したこともあったけれど、なんとか病気と折り合いながら再就職の活動をした。

病気のことをオープンにして活動したが、「それってどんな病気ですか」と質問され、そのたびに基本的なことから説明していった。大変だった。そこまでしても不採用……。その数は十数社にものぼった。

実家に帰ろうか、と思ったこともあったけれど、やっぱり長野が好きで、自転車が好きで、またこちらに帰ってきてしまう。自転車はN.Sさんにとってどこへでも一緒に行く相棒であり、自由の翼でもある。

「障がいを負っているから仕事ができない、と思われたくないんです。まだ、社会にはその偏見があります。その偏見を乗り越えていくのが大変だな、と思ってます。」

そんななかで出会った今の会社。なかなか居心地がよい。

「特例子会社という、障がいを負っている方が働こうというところなので、調子悪かったら調子悪いんだろうな、と察してくれるし、病名を言っただけでわかってくれる。それだけですごく気楽ですね。」

いまは一日6時間勤務。「毎日会社に来る」という目標は、いまのところ大丈夫。このまま続けていけそうな予感もむくむくとわいてきた今日この頃だ。

仲間との小さなガッツポーズ

毎日6時半に起床。朝日が上がると目が覚める。それから前日に買っておいた惣菜などをお弁当に詰め、通勤はもちろん自転車。でも、近所なので5分くらいで到着してしまう。

会社では、パソコン入力が主な仕事だが、時には封入・発送作業をやることも。いろんな仕事がまわってくるので、それもまた気分が変わって楽しいそうだ。

「チームで仕事をしているので、一つの仕事をやり終えたときにみんなで拍手をするときがあるんですよ。そのときは、“よし、みなさんのためにやれた!”っていう達成感があるんですね。あるいは、目標の数値が書いてあって、それを消していって全部終わったら終了、とかね。」

そんな時、小さなガッツポーズが出る。

「病気だからってなめられてたまるか」というN.Sさんの意地。心の底に秘めた意地が、少しずつ少しずつ仲間の中で溶けだしていく。ここでならやっていける。一日一日の積み重ねが、もう4カ月目になった。

毎日…の向うへ駆ける

N.Sさんは、自転車のコスチュームで自転車に乗ることはしない。アウトドア用の割と普通の服を着てヘルメットだけはつけて自転車に乗る。行った先でお店に入ったりするときに、「いかにも」というスタイルで見られるのがいやだからだ。これもこだわり。

今年の目標は、今の職場にこのまま毎日通い続けるということだ。きっと大丈夫。N.Sさんの旅は始まったばかりだ。