春、国立大学の教育学部を卒業しました。ここから社会人としてスタートします。

普通の学校で育った自分

M.Kさんは、この春、国立大学の教育学部で教育カウンセリング課程を修了したばかりの22歳。生まれた時から身体に障がいをもっているが、ずっと一般の人と同じ公立の学校で学んできた。

「何か人の役に立ちたくて、公務員を志望し市役所を受けたのですが、御縁がなく……」

障がい者枠もあったのに、M.Kさん、敢えて一般枠で応募した。があえなく不合格。そこからの就職活動で今の会社に巡り合った。

「たまたまハローワークに行った日にこの会社の説明会をやってて、窓口の方に進められてそこに行って、履歴書を出し、よくわからないままに決まってしまったんです。」

決まる時というのはそんなもの。しかも、得意なパソコンを活かせる仕事だった。

「ラッキーだったんですよ。」

市役所で障がい者枠に応募しなかったのは、自分がずっと一般の健常者と同じ学校に通ってきて、健常者と同じ感覚をもっていたからだ。「健常の方と同じレベルで働いてみたかった」とM.Kさんは言う。もしかして障がい者枠だったら通っていたかもしれない。でも…。

世の中の厳しさに初めてブチ当たったけれど、そのとき逆に、自分を普通の学校に通わせてくれた親に感謝の気持ちが湧いてきた。

「結果的に、友達がたくさんできたし、公立の学校で勉強もたくさんできてよかったです。幼稚園から小学校に上がる時、小学校から中学に上がる時、養護学校にいくかどうかで選択を迫られたときもあったみたいですが、がんばって私を普通に育ててくれた……。」

自分ではあまり気にしてこなかったけど、友達が気を使ってくれていたこともたくさんあったんだ、と思う。だからこそ、いま見つけたこの仕事から、自分の一歩を始めていきたいM.Kさんだ。

チームの一員としてがんばってます!

今の仕事は、スタッフさんや企業に送る書類の印刷や履歴を残す仕事。簡単そうだがミスは許されない。

「ちょっとでも印刷する書類を間違えてスタッフさんや企業に渡してしまうと会社全体の信用にかかわってくるじゃないですか。学生の時とはまるで違って責任を感じます。」

一日があっという間に終わる。一週間もすぐ終わる。同じ仕事をやるチームの仲間は、共にがんばるいい緊張感がある。

「あんまり特別扱いされないところがいいんです。新人とか年齢が若いからということで甘やかされたりはしないんです。完全にチームの一員という感じで。」

この、いい意味での厳しさが楽しくもある。学生のときとちがって、責任を負って仕事をするって楽しいことなんだ、と初めて気づいた。

最初は何をするのかわからずに、あれよあれよと入社してしまったM.Kさんだが、最近では「ここでずっと働き続けてもいいかな」と思い始めている。

スモールステップで一歩ずつ

まだ22歳。人生はまだ始まったばかりのM.Kさん。トライしてみたいこと、見てみたいこともたくさんある。

「割と好奇心旺盛なんです。自分のアイデアを活かす仕事もしてみたいし、パソコンにこだわらず、いろいろなことに挑戦してみたいです。」

ずっと支えてくれたお母さんには、「30歳までには素敵なダンナさんを見つけて結婚しなさいよ」と言われるようになった。そんなこと言われても……。

これから社会人をめざす後輩たちに、こんなメッセージを送ってくれた。

「自分のやりたいことがまだはっきりと見えない人もいると思いますが、働いて行くうちに自然と見つかるんじゃないかな、と思うので焦らずにスモールステップで積み重ねていけばいいんじゃないかな。」

3月まで学生だったのに、もうすっかり大人の顔になっているM.Kさんだ。